魚の遺言

垂れ流しで恐縮です。推敲もしていないもので、申し訳ない。ご指摘有ればコメントお願いします。

「国の借金の嘘」に対する考察

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三橋氏が言うには、以下の通りらしい。

 

 ― 国債(国の借金)が増えると家計が増える
 ― 日本銀行が負債超過しても、日本銀行国債を買っている限り財政破綻しない

 

この方の言っている理論は、現状結果的に正しいのだと思うのだが、国の借金増大にまつわるリスクの増大について言及しないので非常に気持ちの悪い理論になっている。

 

現状を家族に例えると

 

 1. 家長である父親(政府)は借金を繰り返している
 2. 父親は親戚(日銀)からお金を借りている為、厳しい取り立てには逢っていない
 3. 娘(企業)が父親の代わりに働いて家の信用を保っている

 

この例えに出てくる娘というのは、トヨタやホンダを始めとする「輸出産業」である。

 

三橋氏の論理に出てくるグラフは、下記の二本だけなのだろう。(?)

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日本の信用力評価指標(三橋氏)


どうも、「国家の財政破綻や信用力低下は国家の財政状況とは無関係」と言いたいかの様に聞こえる。
で、結論は、「1200兆円と言われる国の借金は返す必要などない大嘘」である。

(三橋氏は1060兆円と言っているが、政府発表によると1,273.1兆円)

※ 出典: 令和元年 国の財務書類のポイント

<https://www.mof.go.jp/policy/budget/report/public_finance_fact_sheet/fy2019/point.renketu.pdf

 

本当にそうだろうか?

 

 

実際には「国の財政状況と、産業を含めた国力を総合的に評価し、国の信用力は決定される」のが現実だ。
つまり、下記の様な格好と考えるのが普通だ。 

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日本の信用力評価指標(実際)

 

財政状況は悪化しているが、輸出産業の努力により信用力が引き上げられ、高止まりしているだけなのだ。

 


因みに、スタンダードプアーズやムーディーズの日本の信用力評価は下記の図と同様に下がっている。
<https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E5%88%A5%E4%BF%A1%E7%94%A8%E6%A0%BC%E4%BB%98%E3%81%AE%E4%B8%80%E8%A6%A7>

 

輸出産業が好調なままの状況(まあ、諸事情により多少の上下はあるが、多少である。)にも拘らず、信用力評価が下がったという事実は、上記のグラフの赤線に当たる格好で評価されている事の証明でもある。

 

暫くは安泰かと思われるが、輸出産業は様々な外的要因に影響を受けてしまうものでもある。
財政健全化をするか、それとも外的要因リスクを排除する努力をしなければ財政破綻の脅威に晒されてしまう。

 

因みに、「国内で閉じる財政破綻」よりも「信用力低下による貨幣下落」の方が、日本にとっては困る。そして、信用力の低下は特定不可能な要因により起きうる事象なのだ。

その為、影響を与えうる要素を政府は可能な限り排除しようと努力しているのである。

 

日本の国家としての信用力が低下すると、どの様な事が起こるかというと、最悪「貨幣価値の下落」が起き、石油や原発の燃料が買えなくなり、電力不足から様々な産業が生産ができなくなる等の状況に陥る。

(最悪ケースなので、政府の「外貨準備」の分量によっては時間的な猶予も数か月間あるものと予想できる。が、その間に対処できない場合は、上記事態により警察のパトカーすら走れなくなり、夜警国家になる可能性すらある。)

 

二本足で立っていた動物が、一本足で立っている状況なのである。

三橋氏の説明には、いつもこれが足りていない。

政府の財政健全化は「やるに越したことは無い」のだ。(かなり優先度の高い「やるに越したことは無い」である。三橋氏の名誉に配慮し、この言葉を選んだ。)

 

視聴者の方々は、重々留意することをお勧めする。

 

 

ただ、この人の言っている事の、「デフレ対策が不足している」という点に関しては筆者も同意である。賃金が下がっている状況下でのインフレは、スタグフレーションという最悪の状況なのだから。

インフレ目標掲示している時点で、政府に責任の一端がある。

 

政府には本気で賃金向上の為の策を「十分に」講じて欲しい物である。

(役所仕事って、不十分にやって「一応やった」という無責任なイメージが付き纏う。

今これをやる余裕は、無い。アベノミクスも、「十分に」という点が出来ていれば勝算を受けていた可能性があったんだろうなぁ。

 

いや、経営者の先行き不安が原因の多くを占める問題だ。

時間が掛かるのは致し方なかったのかもしれない…… 今までは不安払しょく策無し(この時点でそもそも致命的な検討不足な気もするが)で一旦やってみた、というだけだったのかもしれない。なら、麻生さんをはじめとする首脳陣達の本気を、そろそろ見たいところだ。)