日本人労働者の労働生産性が低い本当の理由
朝まで生テレビ等で、議論がされていますよね。
申し訳ないのですが、少しズレている気がしないでもなく、この記事を書きました。
偉そうに、申し訳ないと思っています。(僭越な記事ですが、一読の価値はあるかと思い… いや、読んでみてください。是非感想を。)
田原さんや宮台さんは何故、「労働生産性は会社の利益で算出されている」という事実に目を向けないんでしょうか。
労働生産性の指標は、「会社が上げた利益」を社員数と時間で割って出しています。
つまり、会社が儲かっていれば高くなり、儲かっていなければ「例え優秀な社員が優秀なアウトプットを出していたとしても」低くなります。
つまり、無能な人がテキトーな仕事をしてても、会社が割高な粗悪品を売っていたとしても、利益が出ていれば労働生産性は高く算出されてしまいます。(なんでみんなこれに気付かないのか不思議なんですが。)
私は日本の労働者はむしろ、優秀な人が多いと思っています。
あのコンサルティングの有名人、ピーター・ドラッガーも、「日本の会社で物事が決まった時には、既にその実行方法も決まっている。」と、評しています。
日本の会社が決断までに深く考え、思慮深く結論を出すのことを、「決断に時間を要するが、それは無駄ではない。すべての関連部署の調整が完了した状態で物事が決まる為、実行の段になると物凄く早い」と評していたものです。
逆に海外の会社は「決断は早いが、実行直前になって決断を取りやめたりする事がある」と、早い決断の為に犠牲にしているものがある事は、日本ではあまり知られていないでしょう。
その日本の会社の文化は会議や資料作成にも「丁寧に作る」事が優先され、表面上生産性が悪いと誤解されているのが現状だと私は思っています。
会議資料を丁寧に作り、社内の合意形成をすることは悪い事ではありません。
(勿論、度が過ぎる場合は論外ですが、決断に必要な資料が漏れている会議は何も決められず、全くの無駄です。やらない方が良いでしょう。なので、効率を高める為の丁寧さはむしろ生産性を高めます。)
では、なぜ労働生産性が低く産出されてしまっているのか。
― 品質を無償提供してる事が原因
そう考えるのが自然でしょう。
ものづくりに於いて最も手間、コストが掛かるものってなんだと思いますか?
― 断トツで品質管理です。
IT等の現場でもそうです、テストや設計品質の管理の為のレヴューにかける時間は、生産工程のゆうに過半を占めます。
「物を95%の段階迄作ってから、品質を100%にするまでに、それまでに掛かった工数を同じだけの工数を掛ける。」
という言葉を聞いた事はありませんか?
それ程までに品質管理には工数も、手間も掛かるものなのです。
身近な例で言うと…
企画書の品質を上げるために、貴方はどれくらい時間を掛けますか?
提案書、見積書、議事録、報告書……
どれを取ってもあなたは品質を高める為に鉛筆を舐めた経験があるのではないでしょうか。
さて。
― 何故日本の家電製品が売れるのか?
― 何故日本の車が売れるのか?
それは品質に関する評判が非常に良いからと言われています。
東南アジアや南米では数十年前に造られた車が未だに走っており、しかも評判も上々だったりするという話をよく聞くと思います。
さて。
一気に話を核心に進めます。
とある国際交流の場での会話でした。
とある外国人は、「日本の車は道具としては最高だ。」と言っていました。
嬉しい一言ですね。
ですが、この言葉には裏があるのだと考えるべきでしょう。
あくまで「道具として」と、強調していました。
愛着の湧く、特別な物としての愛車、愛機というのとはちょっと違う、という事も続けて言っていた気がします。
深く考えましょう。
― ヨーロッパ人はデザインを重視する傾向があります。
好きな物にお金を掛け、乗る為にお金を払います。
→ バーバリー等の洗練されたデザイン、フェラ―リ等の美を追求したデザイン。
日本の車は品質の割にデザインが野暮ったく、残念ながら品質を安売りして居る現実があると疑うべきでしょう。
デザイン、ブランディングにまだ改善の余地があるのです。
トヨタは海外向けに「レクサスブランド」等も発売していますが、正直、フェラーリやヨーロッパブランドの域に達するにはもう少し時間が必要なのかもしれません。(そして、その路線は間違っていないと思います。マイバッハや、ベントレー等の方向性にも、デザインの方向性を広げるべきだと個人的には思いますが。)
品質だけじゃなく、デザイン、ブランディングで「品質に見合った価値提供」を提案できていないのが原因なのです。
(残念ながら、品質だけでフェラーリの様な金額を取れるほど、世界の市場は甘くないと見るべきでしょう。先ほどの外国人の日本車に対するコメントからも、それは明らかです。それと同時に、日本車の品質がフェラーリ等と比べて負けているとは、私は思えないのです。)
実際に、外車のデザインと比べてみた時に何か感じる事は無いでしょうか。
正直、日本の車のデザインは良くなってきています。
プリウスなども、オリジナリティもありとても良いデザインだとも思います。
ただ、80年代フォルクスワーゲンなどの様な何年も乗りたくなる様なデザインだったり、中毒性のあるFordやChevrolet等の様な域に達しているとはどうしても思えない部分も感じませんか?
瞼の裏に焼き付き、何日も夢に見る様なデザインの域までは… 達しているでしょうか?
日本車の燃費、頑丈さで、トヨタ、日産、ホンダから「リンカーン ナビゲーター」(全く同じデザイン)が発売されたら高くても売れる気がします。
目先を変えて冷蔵庫や洗濯機といった白物家電等にも目を向けてみましょう。
GEやelectroluxといった海外メーカーのものと日本製品、デザインを比べた事が有る方は解るのではないでしょうか。
― 日本のはなんだか野暮ったい…
無印良品と東芝のコラボ製品なんかはまあまあ暮らしに対する「彩り」を添える様な付加価値を感じるが、そのほかのは…
→ それに比べてGEなんかのは文句なくカッコいい。
お金があればこれが欲しい…
そんな気持ちで家電量販店を後にしたことが有るのは筆者だけだでしょうか?
勿論、私は普段から日本の家電製品を愛用しているし、デザインも嫌いではありません。
幼少のころから親しんだデザインに、安心感を感じる事だってあります。が、憧れの製品はいつも海外製品でした。
今後、どうでしょうか。
ものづくり企業の方々は考えてくれないでしょうか?
憧れのデザインを、国産で生み出して、更に海外の国々が「高い関税を掛けないで輸入する」様な金額で勝負するような事業計画を立てたりはしないでしょうか?(勿論、国内では安く売って欲しいものですが……。)
ひょっとしたら独り勝ちするかもしれませんよ。
少なくとも勝算はあると、私は思います。
先日気の迷いで外国車を買ったのですが、
「次は絶対日本車を買おう……」
と、心に誓う羽目となっているこの頃だったりします。
これでは田原さんの事を笑うことなどできませんね。